Suicaオワコン説

先日、各社から記名式Suica及びPASMOの発売を一時休止すると発表された。
https://www.jreast.co.jp/press/2023/20230731_ho02.pdf

無記名SuicaPASMOは既に発売休止となっており、残るは定期券の他、小児用、障害者用など特殊用途のSuicaPASMOのみという状況になった。
半導体不足が理由であり仕方ないとはいえ、このままだとSuicaPASMO)ひいてはFeliCa規格の将来が気がかりだ。

モバイルSuicaは最近障害が頻発しているし、テレワークの普及で通勤需要も減った。
コロナ禍前はSuicaの定期券にオートチャージ付けて、電車だけでなく買い物にも使えて便利という具合であったが、
電車に乗る機会が減り、PayPayやクレカのタッチ決済の方が便利に感じるようになった。

地方から実証実験の体で公共交通機関のタッチ決済利用が少しずつ広まり、首都圏でも江ノ電東急電鉄、さらには東京メトロから本日導入の発表があった。
今はまだインバウンド需要がメインだが、そのうちSuicaに取って代わる日が来るのではないか。

Suicaは1日300万人が利用する新宿駅のような巨大駅でも支障なく利用できることを強みとしているが、テレワークの普及と生産人口の減少でオーバースペックになっていくのではないか。タッチ決済対応の自動改札機の性能向上で、これで十分ということになりはしないか。
実際、地方都市は現実のものとなりつつあり、FeliCa(各種交通系IC)より低コストで、毎日電車を利用しない人からすればチャージ不要で使い勝手が良い。

このままではガラケーと同じ運命を辿り、日本の凋落に拍車がかかるのではないかと危惧している。
FeliCa規格を発行する事業者(nanacoWAONEdyなど流通系を含む)が危機感を持って一丸となって取り組まないといけない時期に来ていると思う。

西武新宿線:NRAの後継は、片開き4扉リクライニングシート車を導入せよ!

西武新宿線の特急小江戸号で使用されている10000系NRA(ニューレッドアロー)は、登場から今年で30年。そろそろ新型車両へ置き換えても良い時期だが、コロナ禍前の2019年に中期経営計画で更新検討とされて以降、音沙汰なし。先日の株主総会で話題になったとも聞くが、そんなNRAの後継車両について考えてみたい。

1) 利用状況
一言で言えば、朝晩満席で昼ガラガラ。
通勤ライナー的な性格が強い列車だが、小江戸こと川越方面の観光需要を掘り起こす営業施策的な側面もある。朝晩満席といっても、池袋発車の30分前には満席になる夕方の池袋線特急と異なり、席を選ばなければ西武新宿発車間際でも買える状態。コロナ禍のピークだった3年前は高田馬場発車時点でも空席が目立った。

2) LC車導入の可能性
ネット上では、NRAの後継車両としてTJライナーや拝島ライナーのようなLC車を導入してはどうか?という意見があるが、個人的には反対。
一見合理的で実現可能性が高いようにも思えるが、朝晩の利用客にとってはリクライニングシートの特急車両から大幅グレードダウンで、西武鉄道にとっては特急料金からLC車の座席指定料金に変わることで減収となる。顧客満足度を低下させ、売上(単価)を減らすために投資(40000系LC車増備)するのは愚策という他ない。

3) 昼間の快適乗車ニーズ
LC車導入は、日中の快適乗車のニーズを完全に無視しているのも問題だ。
新宿線は競合する他の路線に比べて遠回りで、都心アクセスも悪い(西武新宿・高田馬場)。
一方で、運賃は廉価で、特急ならそれなりに快適。例えば新宿から山手線で池袋に出て、東上線の急行で川越に行くと648円かかるが、西武新宿〜本川越間は513円と135円安く済む。リクライニングシートにゆったり座れることを考えれば、西武新宿の立地の不利を差し引いても悪い選択ではない。これは新宿〜所沢間で池袋線経由と新宿線を比較しても同様のことが言える。つまり、NRAの特急料金さえなければ、良い勝負になる。

4) 上記を踏まえたNRA後継車両像
・朝晩は有料列車(特急)、昼間は一般列車(急行)として合理的に運用
・LC車ではなく、NRAと同等の快適性を有する車両
・昼間の快適乗車ニーズを満たし、観光需要にも対応する車両

5) 私案
結論としては、表題の「片開き4扉リクライニングシート車」が最適と考える。
詳細は以下の通り。
・愛称「レッドアロー」
朝晩は特急レッドアロー号、昼間は急行レッドアロー号として運用。
知名度の高い既存の愛称を踏襲することで、快適なイメージを想起させる。

・片開き4扉リクライニングシート
4扉としたのは、昼間の急行運用時の乗降性とホームドア対応のため。
片開きとすることで客室スペースと側面窓を広く取り、リクライニングシートで快適性を確保。
特急としての快適性と急行運用時の乗降性を両立させる。
JR東海373系を4ドアにしたようなイメージ)

リクライニングシートは急行としてはオーバースペックだが、競合路線への対抗として「昼間の急行レッドアロー号は、特急車両に乗車券のみで乗れる快適列車」のイメージを打ち出す。西武新宿は不便だし新宿線は時間がかかるけれども、車両は快適で安いとなれば一定の需要が期待できよう。とくに外国人観光客には、西武新宿直結の新宿プリンスホテルに宿泊して翌日川越観光といったプランも考えられる。

・車両新造数:80両(10両編成8本)
内訳は通常運用7編成、予備車1編成。

昼間の急行は西武新宿〜本川越間約55分(特急待避がなくなるため所要時間短縮)、西武新宿・本川越両駅の折り返し時分入れて往復140分。毎時3本として7運用。

朝晩は本川越発着5運用、拝島発着2運用。
現行の小江戸号は最大4運用だが、下り新所沢〜本川越間各停として1運用増。
拝島ライナーは特急レッドアロー号に格上げ(停車駅は現行と同一)。40000系LC車は池袋線へ転属。
池袋線へ転属する40000系LC車の用途は、後日別の記事に記載予定)
予備車1本を除く7編成を終日フル活用することで、車両の運用効率を高める。

・朝晩の特急料金:500円均一
来月の料金改定で特急料金と拝島ライナーの座席指定料金は値上げとなる一方、S-TRAINは据え置きと発表された。
池袋線特急と異なる料金体系を許容するのであれば、下り拝島行きは小平から、本川越行きは新所沢から各停でフリー区間とする代わりに、NRAの所沢までと同一料金(2023年7月以降)で良いのではないかと思う。
拝島方面は特急化でさらに値上げとなるが、現在の利用状況や車両設備のグレードアップで利用客からは一定の理解が得られよう。西武鉄道にとっては増収となる。

・デザインコンセプトは、小江戸をイメージした和風デザイン
(リビングのようにくつろげる特急車両のラビューに対して、茶室のようなイメージ)
・座席にはインアームテーブル装備
・30000系以来の幅広車体で通路幅を確保(乗降性向上)

以上が西武新宿線NRA後継車両の私案です。
ご意見、ご感想など、お気軽にコメント頂けますと幸いです。

プチ・ベーシックインカム 〜デジタル商品券導入による景気刺激〜

近年よく議論されるテーマに、毎月一定額を国民全員に支給するベーシックインカム(以下BI)がある。
現時点では思考実験の域を出ないが、実現すれば失われた30年を抜け出す切り札になり得ると考える。

一口にBIといっても、人によってイメージするものが違うので、まず定義をはっきりさせたいと思う。
ここで言うBIは経済政策としてのBIである。生活保護や年金などの福祉政策を目的としたものではなく、行政のスリム化を狙ったものでもない。それらは別途考えるとして、以下はあくまで景気刺激を目的とした政策である。

過去に何度か景気対策を目的としたバラマキが行われてきた。地域振興券(1999年)、定額給付金(2009年)、特別定額給付金(2020年)などである。それらは景気対策として十分な効果があったとは言い難い。理由は明白で、貯蓄や生活必需品の購入に回るからだ。いきなり10万円もらっても、先行きが見通せない中で大盤振る舞いしないだろう。需要を先食いするだけで、個人消費の喚起にはなり得ない。

そこで、以下の制約のあるデジタル商品券を毎月配布することを提案したい。
1) 商品券は1万円相当額
生活費にはとても足りないが、あくまで景気刺激に必要な最低額。一般的に議論される数万円〜数十万円のBIよりずっと低予算で済むので財源のハードルは低い。

2) 有効期限は支給日から1年間
たとえば2023年5月に支給されたBIは2024年4月末まで、2023年6月分は2024年5月末で失効といった具合に有効期限を設ける。

3) 購入できる商品は単価が額面(1万円)以上の商品に限る
200円の牛乳を50本とか、12円のうまい棒833個とか、1万円以下の商品の購入には使用できない。5万円の腕時計の1万円分を商品券で支払う、1年分の商品券12万円分でスマホを買うといった利用を想定。

4) 金券、金融商品、公共料金は対象外
積立投信の毎月の支払いとか、通勤定期券の購入には使用できない。

5) 商品券は原則としてスマホアプリで毎月支給
・PayPayのようなQRコードを読み取る方式を想定。商品券の配布コストを抑える。
・アプリはマイナンバーカードによる認証で不正受給を防止する。
NFC対応のスマホを持っていない低所得層には役所でQRコードを印字した紙の商品券を支給。
・携帯ショップのスマホ教室に補助金を出して、デジタル機器に不慣れな高齢者対策とする。
・デジタル商品券の読み取り機器購入、更新費用は全額税控除対象とし、小売店の負担をなくす。

以上の仕組みで、個人消費を喚起する。
有効期限と単価の制約で貯蓄や日用品の購入に回ることを防ぐ。毎月支給の恒久的な制度なら需要の先食いも起こらない。
支給額は毎月1万円としたが、インフレなど社会情勢に応じて適宜見直すことを想定。

実現すれば、強力な景気刺激策になるのではないだろうか。

キャッシュレス減税

先日PayPayが他社クレジットカード利用を廃止するニュースが話題になった。
その大きな理由の1つが決済手数料の高さにあるとされ、今回の件に限らず、キャッシュレス決済の普及を阻む最大の要因である。

加盟店が支払う決済手数料は一般的に決済金額の3%程度とされ、1%台やそれ以下の諸外国に比べて高い。
オンライン決済はNTTデータのCAFISのシェアが圧倒的でその手数料が高いとか、リボ払い中心の米国と一括払い中心の日本とのビジネスモデルの違いなどが挙げられるが、根本的な問題として決済をビジネスとして成立させるには手数料が必要なことに変わりはない。手数料を少々引き下げたところで加盟店増加、決済件数増加による増収はあまり期待できないと思われる。決済コストが現金以下にならなければ、現金しか使えない小売店がなくなることはないだろう。

国策としてキャッシュレス化を推進するのなら、いっそ国が決済手数料を負担してしまえば良い。
そこで表題の「キャッシュレス減税」を提案したい。
具体的には、大きく分けて2つの減税制度を設ける。
※なお、ここでは便宜上「小売店」と書くが、病院の会計、駐車料金、社食など決済全般を指す

1つ目は小売店の消費税減税。
顧客からは通常通り10%の消費税を徴収した上で、納税時にはキャッシュレス決済の場合は7%納税する。一律3%の減税とし、決済手数料に充ててもらう。決済手数料が3%を超える分は小売店の負担になり、3%未満なら差額は小売店の利益することで、決済事業者間の手数料引き下げ競争を促す。また、キャッシュレス決済なら集計が容易で証跡が残るので脱税しにくいというメリットもある。

2つ目は決済事業者の法人税減税。
売店のカバー率に応じて法人税を減税。例えば、国内の全ての小売店で使える決済サービスを提供する事業者なら5%減税、95%で使えるなら4%減税…といったイメージ。この店はSuica専用、あの店は現金とクレジットカードしか使えないというような小売店ごとにバラバラな状況の解消を目指す。

以上の2つの減税制度が実現すれば、キャッシュレス決済が急速に普及すると考える。

北海道新幹線のダイヤ案(概要)

◯種別と停車駅
はやぶさ(速達タイプ)
東京・上野、大宮、仙台、盛岡、新青森、札幌

はやぶさ(準速達タイプ)
東京・上野、大宮、仙台、盛岡、八戸、新青森新函館北斗長万部、札幌

はやて(区間列車、ワンマン運転
盛岡〜札幌の各駅

◯東京(上野)〜札幌間の所要時間
※青函共用区間については「青函共用走行問題:私案①暫定案」を参照

(考え方)
・東京〜札幌間の一番列車と最終列車は速達停車パターン+青函高速走行の最速列車とする
・朝晩の上記以外は準速達停車パターンで、多客時間帯の停車本数を増やす
・日中は青函共用区間で貨物とのすれ違いで所要時間が延びる分、停車駅を絞って相殺する

(具体例)
・下り東京6時台発
→「はやぶさ」速達タイプで運転、所要時間4時間程度(青函高速走行)

・下り東京7時台発〜8時台発
→「はやぶさ」準速達タイプで運転、所要時間4時間30分程度(青函高速走行)

・下り東京9時台発〜14時台発
→「はやぶさ」速達タイプで運転、所要時間4時間30分程度(青函貨物すれ違い時160km/h制限)

・下り東京15時台発〜16時台発
→「はやぶさ」準速達タイプで運転、所要時間4時間30分程度(青函高速走行)

・下り東京17時台発
→「はやぶさ」速達タイプで運転、所要時間4時間程度(青函高速走行)

※上り列車も同様の考え方
※厳冬期は、青函共用区間のうち明かり区間140km/h制限で所要時間増加

◯こまち号の運転について
かつてのFASTECH 360の試験走行結果やALFA-Xにミニ新幹線タイプがないことから、
360km/h運転時、ミニ新幹線との併結は困難と考える。
分割併合による「はやぶさ」の時間ロスや遅延波及防止のため、
はやぶさ」と「こまち」はそれぞれ単独運転(毎時1本ずつ)とする。
「こまち」は新仙岩トンネル建設による速達化を目指す。
多客時は盛岡止まりの10両編成を増結、閑散期はミニ新幹線車両7両編成単独とし、輸送力を調整する。
(「はやぶさ」は通年で10両編成の単独運転)

◯東京駅発車時刻イメージ
毎時00分発 札幌行 はやぶさ
毎時30分発 秋田行 こまち
※「こまち」は盛岡で「はやて」と接続、「はやて」は新青森で「はやぶさ」と接続

 

 

 

ワンマン新幹線

東北・北海道新幹線は仙台と盛岡で輸送段差がある。
とくに盛岡以北をみると、いわて沼宮内の83人(2018年度)など
乗車人員が100人以下の駅が点在し、それらの駅は停車本数も少ない。
利用客が少ないから本数が少ない、本数が少ないから利用客も少ない。
悪循環を断ち切るためにも、ミニマムアクセスとして最低毎時1本は必要だと思う。

一方で、札幌延伸開業時は航空機との競争になるから、
停車駅の少ない速達タイプも高頻度で運転する必要がある。
運行本数を増やしつつ、運行コストは最小限に抑えなければならない。

一般的に人員の合理化というと、無人駅化やワンマン運転だが
東北・北海道新幹線の場合、青函トンネルをはじめとした長大トンネルがあり、
緊急時の避難誘導を考えると無人駅化は困難。最低でも警備員の常駐が必要。

では、ワンマン運転はどうか。
JR東日本では自動運転に向けた研究が進められているが、
いくら前方注視義務がない新幹線とはいえ、不測の事態に備えて運転士資格を持つ乗務員は必要だろう。
車掌業務のうち、ドアの開閉は副都心線などのように設備を整えれば運転士が行うことは可能。
車内放送もワンマン運転の地下鉄と同様、自動放送を基本として、運転士が補助的に行えば良い。

問題は、検札業務だ。
ATO運転だとしても、運転士が乗務員室を離れて車内を巡回するのは安全上の懸念がある。
ならば、検札しなければ良い。車内検札が必要なのは指定席があるからであって、全席自由席なら駅の新幹線改札だけで良く、車内検札は不要。
盛岡〜札幌間にワンマン運転区間列車を運行することは理論上可能だと考える。
つまり、東京〜札幌間を運行する新幹線は停車駅を絞った速達タイプ(ツーマン運転)として、
それ以外に盛岡〜札幌間に各停タイプのワンマン新幹線を毎時1本運行するのである。

ワンマン新幹線は6両編成、通路を挟んで2列+3列のモノクラス。
駅では通勤電車に乗るのと同じ要領で、改札機にSuicaをタッチするか、
券売機で新幹線降車駅までの切符を買うだけ。

近年は券売機の多機能化で操作が煩雑になった印象があるが、
これなら極めてシンプルで、機器操作の苦手な高齢者でも迷いなく利用されよう。
ワンマン運転区間の駅員・乗務員への問い合わせが減り、運行コスト削減につながる。

ダイヤの詳細は次の記事に記載するが、
盛岡で「こまち」と接続、新青森で速達タイプと緩急接続を行い、利便性を確保する。
小田急線でたとえるなら、新宿からロマンスカーに乗って、
町田や本厚木で同じホームの各停に乗り換えるような感覚で利用できる。

青函共用走行問題:私案②貨物新幹線

前回の記事の冒頭に書いた通り、本命は貨物新幹線。
三線軌である限り除雪の問題は残るし、函館~長万部間の並行在来線問題もある。
それを解消するには、在来線を廃止するしかない。


在来線廃止後の貨物輸送は新幹線か、海上輸送で担うことになる。
後者は技術的ハードルは低いものの、鉄道貨物全体への影響、
トラックドライバーの不足で物流全体への影響が大きい。
JR貨物どころか日本の衰退を加速させてしまう危険性がある。
前者の貨物新幹線は逆に、技術的なハードルこそ高いものの、
実用化すれば国内の物流に革命をもたらす可能性を秘めている。


ところで、近年「貨物新幹線」という言葉が独り歩きしているように思われる。
JR東日本が旅客新幹線の空席を活用し、生鮮食品を運ぶサービスを始めたが、その延長で専用車両にパレットを積み込む方式の「貨物新幹線」を始めようとしている。
これは従来のコンテナ貨物とは全く別物であり、輸送力が比較にならないほど小さい。
本記事の「貨物新幹線」とはコンテナ輸送の貨物列車であり、在来線貨物の代替となり得る列車を指す。


具体的には以下の通り。
1) 運行区間:青森信号場~札幌貨物ターミナル駅
青森信号場及び札幌貨物ターミナルで在来線貨物との積み替えを行う。
旅客がいない、新幹線には踏切がない特性を踏まえ、無人運転(自動運転)として、運行コストの削減を図る。
新幹線の運行ルールに則り、0時~6時は運行を休止する。
青森~札幌間の所要時間が現行の8時間程度から3時間程度と半分以下に短縮するため、深夜帯に走行する必要がなくなり、前述の無人運転と合わせて運行コスト削減に寄与する。


2) 貨車
20m車20両編成。
在来線貨物の積み替えに対応するため、緊締装置など現行のコキ100系と互換性を持たせつつ、貫通幌を横に寝かせたような蛇腹状の防風構造を設ける。積み下ろし時は防風幌を畳み、走行時は貨車を覆うように広げて旅客新幹線とのすれ違いに耐え得る構造とする。
新幹線の軸重制限のため、アルミ、カーボン等の素材を多用。形状を工夫し、強度と軽量化の両立を図る。


3) 動力車(≠機関車)
H級(8軸)を貨車前後に連結。
TGVのようにプッシュプル運転で貨車20両と合わせて1編成を構成する。前後2両(4車体)として機器を分散、軽量化することで、軸重16t以下とする。
営業最高速度は160km/h。北海道新幹線の待避駅(信号場)間で旅客新幹線から逃げ切れる最低限度の速達性能とする。


4) 地上設備
・青森信号場
貨物新幹線と在来線貨物の積み替え設備を設ける。
上下二段構造とし、上段の新幹線と下段の在来線の積み荷をロボットアームで自動で積み替え、省力化と積み替え時間の短縮を図る。


・青森信号場~新青森駅付近
貨物新幹線専用線(単線)を設ける。


・共用区間新中小国信号場木古内駅
狭軌を撤去する。
奥津軽いまべつ駅構内及び湯の里知内信号場狭軌待避線は標準軌に改軌し、貨物新幹線の待避線に用いる。必要に応じて待避線を延伸する。


長万部駅付近
貨物新幹線の待避線を設ける。


・札幌車両基地(新幹線)~札幌貨物ターミナル駅
貨物新幹線専用線(単線)を設ける。


・信号関係
旅客新幹線は25m車10両編成(E5系編成長253m)だが、貨物新幹線は貨車20両+動力車2両(450m程度)のため、必要に応じて閉塞割を変更する。


長くなったが、貨物新幹線の概要は以上。
技術的なハードルが高いため、現時点は鉄ヲタの妄想かもしれないが、青函共用走行問題や函館~長万部間の並行在来線の議論をみる限り、貨物新幹線の開発は必要だと考える。それも、旅客新幹線ベースの専用車両にパレットを積み込むようなものでお茶を濁すのではなく、在来線コンテナ貨物の代替となり得る列車が望ましいのではないだろうか。