青函共用走行問題:私案①暫定案

青函共用走行問題の一番の解決方法は、貨物新幹線の実用化だと思う。
だが、今から研究開発したところで、2030年度の札幌延伸開業には間に合いそうにない。
そこで貨物新幹線の実用化までの繋ぎとして、国交省の資料をベースに技術的ハードルの比較的少ない以下の案を提案したい。

1) ATCを改修し、貨物とのすれ違い時に減速する
共用区間の最高速度を整備新幹線標準の260km/hに引き上げる。
対向の在来線を検知すると、ATCの臨時速度制限機能により160km/hに減速。

2) 保守間合い時間の拡大(6時間確保)と高速走行時間帯の設定
貨物運行に支障のある午前3時以降を避けるため、21時~翌3時の6時間を保守作業時間とする。対向の貨物列車が走行しない高速走行時間帯を設定する。

21:00-03:00 保守(6時間)
03:00-06:00 貨物専用(毎時4本)
06:00-09:00 上り新幹線高速走行(下り貨物走行不可、上り毎時1本)
09:00-12:00 下り新幹線高速走行(上り貨物走行不可、下り毎時1本)
12:00-18:00 新幹線・貨物混在(すれ違い時減速、貨物毎時2本)
18:00-21:00 新幹線専用(高速走行)

上記の通り、貨物は最大で上下合わせて54本。
現行(最大51本)と同等の輸送力を確保。

3) 明かり区間は積雪時のみ徐行運転
除雪困難ゆえの140km/h制限であれば、夏季など積雪のない時期は260km/h(貨物すれ違い時は160km/h)で運行しても問題ないはずである。
260km/h運転を基本として、貨物すれ違い時は160km/h制限、積雪時は140km/h制限として、可能な限り走行速度を高める。


※積雪時の所要時間増加分は、札幌側の着発時刻、折り返し時分で吸収する。
(たとえば札幌11:00着、折り返し12:00発の場合、積雪時の臨時ダイヤでは札幌11:20着、11:40発という具合)

4) 貨物列車の最後尾に確認車を連結する
貨物の最後尾に連結することで、支障物確認のための線路閉鎖を回避する。
確認車には複数台のカメラを設け、AIによる画像解析で省力化を図る。

上記1~4により、共用走行の問題を緩和し、
貨物の輸送力と新幹線の速達性を両立を図る。

青函共用走行問題:問題点の整理

青函トンネルとその前後の約82kmの区間は、新幹線と在来線(主に貨物列車)が線路を共用しており、
現在は新幹線の最高速度が140km/h~160km/hに抑えられている。
この問題について考えてみたい。

 

まず、問題点の整理。
一般的には、すれ違い時の風圧の問題が知られているが、それだけではない。
国交省に以下の資料がある。

交通政策審議会:交通政策審議会陸上交通分科会鉄道部会整備新幹線小委員会青函共用走行区間技術検討WG - 国土交通省

交通政策審議会:交通政策審議会陸上交通分科会鉄道部会整備新幹線小委員会青函共用走行区間等高速化検討WG - 国土交通省

 

主な問題点は、次の通り。
1) すれ違い時の風圧
貨物の荷崩れ、機関士への身体的影響、地震発生時の脱線のリスクなど。

 

2) 保守間合い時間の不足
新幹線は0時~6時の6時間が保守作業時間だが、青函共用区間では貨物運行のため通常2時間半しか確保できていない。
時期によっては一部の貨物を運休して保守作業時間を拡大しているが、それでも最大4時間10分程度。
青函トンネル開業から30年以上が経過し、構造物の経年劣化が進む中、新幹線の高速走行には保守間合い時間の確保が不可欠。

https://www.mlit.go.jp/common/001151886.pdf

 

3) 明かり区間の除雪
共用区間の約82kmのうち青函トンネルは約54kmで、残りは短いトンネルと明かり区間(約10km)。
現状新幹線が160km/h運転を行っているのは青函トンネルのみで、それ以外の区間は依然として140km制限。
明かり区間三線軌の除雪が困難なため。

https://www.mlit.go.jp/common/001183320.pdf

 

4) 高速走行前の確認車走行
新幹線の200km/h以上の高速走行前に確認車を走らせて、軌道上に支障物がないか確認する必要がある。
現状では2時間程度かかっているが、貨物が走行する度に2時間線路閉鎖してから新幹線を運行するのは非現実的。

https://www.mlit.go.jp/common/001120162.pdf

 

主な問題だけでも、これだけある。
次回以降の記事で、それに対する私案を記載する。

このブログについて

初めまして。
主に鉄道に関する意見やアイディアを書いていきます。
ここに書いたところで何かが変わるわけではないと思いますが、
頭の中に留めておくよりは、どこかに書き残しておいた方が良いと思い、ブログを開設しました。
感想・意見など、お気軽にコメントください。