青函共用走行問題:問題点の整理

青函トンネルとその前後の約82kmの区間は、新幹線と在来線(主に貨物列車)が線路を共用しており、
現在は新幹線の最高速度が140km/h~160km/hに抑えられている。
この問題について考えてみたい。

 

まず、問題点の整理。
一般的には、すれ違い時の風圧の問題が知られているが、それだけではない。
国交省に以下の資料がある。

交通政策審議会:交通政策審議会陸上交通分科会鉄道部会整備新幹線小委員会青函共用走行区間技術検討WG - 国土交通省

交通政策審議会:交通政策審議会陸上交通分科会鉄道部会整備新幹線小委員会青函共用走行区間等高速化検討WG - 国土交通省

 

主な問題点は、次の通り。
1) すれ違い時の風圧
貨物の荷崩れ、機関士への身体的影響、地震発生時の脱線のリスクなど。

 

2) 保守間合い時間の不足
新幹線は0時~6時の6時間が保守作業時間だが、青函共用区間では貨物運行のため通常2時間半しか確保できていない。
時期によっては一部の貨物を運休して保守作業時間を拡大しているが、それでも最大4時間10分程度。
青函トンネル開業から30年以上が経過し、構造物の経年劣化が進む中、新幹線の高速走行には保守間合い時間の確保が不可欠。

https://www.mlit.go.jp/common/001151886.pdf

 

3) 明かり区間の除雪
共用区間の約82kmのうち青函トンネルは約54kmで、残りは短いトンネルと明かり区間(約10km)。
現状新幹線が160km/h運転を行っているのは青函トンネルのみで、それ以外の区間は依然として140km制限。
明かり区間三線軌の除雪が困難なため。

https://www.mlit.go.jp/common/001183320.pdf

 

4) 高速走行前の確認車走行
新幹線の200km/h以上の高速走行前に確認車を走らせて、軌道上に支障物がないか確認する必要がある。
現状では2時間程度かかっているが、貨物が走行する度に2時間線路閉鎖してから新幹線を運行するのは非現実的。

https://www.mlit.go.jp/common/001120162.pdf

 

主な問題だけでも、これだけある。
次回以降の記事で、それに対する私案を記載する。